日本の赤ワインが進化中!ちょっとした懸念もある!?

近年、日本ワインの品質が高くなりました。
世界のワインコンクールにおいても日本ワインが常連となってきており、その生真面目さから質の高い上質なワインを生み出す注目産地として世界からも人気を集めているようです。
その中でも、とくに新たな可能性が出てきていると言われているのが赤ワイン。
日本の赤ワインは美味しくない、そういったイメージが覆るワインがなぜ生み出されてきたのでしょうか。
日本の赤ワインが世界クオリティに!
先日、かの有名なワインライターであり評論家である、ジャンシス・ロビンソン氏が日本ワインをテイスティングして評価したといったニュースがありました。
白ワインに高い評価を与えていたものの、世界に比肩する赤ワインがいくつか存在していたことに驚きを隠せなかったと報じられています。
同氏は世界のワインを中心にテイスティングしており、日々日本ワインに触れているわけではありません。
それであっても、日本の赤ワインはいまいちであるといったイメージを持っていたのですから、日本のワイン好きであれば尚更でしょう。
まだまだ世界的に見れば日本の赤ワインはさほど有名ではないものの、ピノ・ノワールなどはうまみを強く感じるということで話題になります。
日本の赤ワインはなぜ、ここまで成長したのでしょうか。
日本人ならでは
従来、日本の赤ワインやシャバシャバ、ボディも弱い香りも弱い、構造がないなど、言われ放題でした。
また、マスカット・ベーリーAをはじめ、ラブルスカの香りが本格的なワインとは違った印象を与えてしまい、どうしてもアルコール入りのブドウジュースの域を超えることができなかったのです。
一方、欧州系品種からの赤ワインも古くからつくられているのですが、ブドウの熟成度合いが足りずにどこか力不足、香りも引き出せずに軽快過ぎるボデイに仕上がってしまいます。
それは当然、生産者も理解していました。
そんな中、関係者は黒ブドウの品種にあった適地を選び、さらに数多くの研究を重ねて完全にブドウを熟成させるような研究を日夜行ってきました。
海外品種のようなパワフルな赤ワインは少ないものの、ピノ・ノワールなど繊細さが求められる赤ワインはバランスが良く、むしろ海外以上の魅力を放つようになってきたのです。
醸造も同様、研究をし尽くす真面目な日本人らしいアプローチがここ数年で身を結んできたと考えても良いのかもしれません。
難しさもある
日本の赤ワインが世界を凌駕するクオリティへと進化しつつあることは、大変喜ばしいことです。
一方、日本ワインらしさを失いかねない懸念もあります。
それが、ペアリングです。日本ワインの赤はその繊細さから評価が低かったものの、なぜか難しいと言われる和食系、魚介類系、貝類、卵類と合わせやすい特徴がありました。赤酢のまぐろの刺身など、日本の赤ワインとなぜか抜群の相性です。
しかし、少しずつ海外より、いや品種特性がしっかりと出せるようになり和食とのバランスが崩れ始めている可能性があります。
いや、日本ワインだから合うと関係者はつっぱねるでしょうが、本音をいえば合わなくなってきていると感じているのではないでしょうか。
日本ワインの魅力である幅広いペアリングをとるか、ワイン単体で世界に比肩するレベルへと到達することを目指すべきなのか、とても難しい判断になってくるのではないでしょうか。