ワインの魅力は多様性!その反動でよりワインが難しくなっている?

重たいワインが魅力的ではなくなってきている今、赤ワインもフレッシュで軽やか、エレガントなタイプのものが注目されています。
ワインがよりわかりやすく、タッチしやすくなっている時代ですが、一方であまりにもきれい過ぎる赤ワインを求めていない層もおり、じつはワイン選びがより難しくなってきている可能性もしされているようです。
わかりやすいワインが増えてきているはずなのに、よりわかりにくくなってきている理由を考えます。

多様性が楽しさとなってきている
ワインを難しいと感じる理由として、フランス語のメニューが多いこと、とにかくいろいろな言葉を発言してテイスティングしなければならないこと、世界中でつくられており産地と味わいが勉強しないと結びつかないところにあります。
しかし、それでも以前は赤ワインには肉、白ワインには魚といったように、ある意味で画一的な印象でワイン選びができていました。赤ワインといえばベリー、スパイス、樽由来のヴァニラ、強いタンニン。
白ワインであれば、フルーツのフレッシュな香りと爽やかな酸味、ハーブのようなニュアンスといったかたちで、わかりやすい味わいのものが多く売られていました。
しかし、その画一的な味わいは面白くない、ワインはもっと多様性があるお酒だ。そういった声が多くなり、今ではさまざまな種類のワインが楽しめるようになってきています。

産地を大切にする姿勢
ロバート・パーカーによるテイスティングコメントや点数によって、一時期は果実の甘みとまろやかさ、ダイナミックで構造が大きなワインが流行りました。
それが、上記のような画一的なワインの味わい、方向性を決めていましたが、多様性が注目されるようになったことで、よりブドウのピュアな味わいを楽しめるワインが増えています。
また、ワインにはテロワールという言葉があるように、その産地におけるブドウの個性を最大限生かしたワインが注目されるようになってきました。
土着品種、さらに新たなワイン産地、近年では日本やインド、中国、ブラジルといった世界的にワイン生産地として知られていなかったワインが評価されるようになってきています。
ワインを飲むというよりは、産地で飲む、よりこだわるのであれば生産者で飲む。
ストーリーで飲む。そういったお酒として人気を集めたため、とにかく同じようなワインが減り、どのワイナリーも個性重視のワインをつくるようになってきている状況です。

統制されていない状況に迷う
今、品種はもちろん、産地、生産者などによる、ワインの味わいの違いを幅広く楽しめるようになりました。
オーガニックワインがトレンドを牽引しており、ヴァン・ナチュールやペティアンといった、今までは亜流だったワインも注目を集め、専門店も多くできている状況です。
この状況を喜ぶワイン愛好家も多い一方、あまりにも無秩序な状況になってきていることに警戒感を示す方もいます。
“赤ワインはこんな味わい、白ワインはこんな味わい”といった概念が通用せず、知識なしではワインを選ぶことが難しくなってきているのです。
幅広い品種でワインがつくられるようになり選ぶ楽しさは増えましたし、テロワールを表現したもの、ナチュールをつらぬくワインなど多種多様になりました。
しかし、業界にいる方は良いかもしれませんが、それらを網羅できている一般消費者はどれだけいるのかといった問題もあります。
マニアの回遊で間口を広げられないワイン業界が、さらにマニア向けになってきている可能性があるのです。
多様性こそがワインの魅力ですが、より難しさに拍車をかけている可能性もあります。

