ナチュールワインブーム!本当のところを考えよう!

近年、飲食業界でも人気を博しているのがナチュールワインです。
新たにオープンする飲食店をチェックすると、こだわりの食材と手の込んだ創作系の料理、そしてナチュールワインを揃えているといった売り文句をよく見かけるようになりました。
現在、これだけの飲食店がナチュールワインを取り入れるということいは、明らかにブームが到来しているといったことにほかなりません。
しかし、ブームはブームであり、それが去ったあとはどのようになるのか、その懸念点について考えましょう。
ナチュールワインとは?
そもそも、ナチュールワインといった定義がかなり曖昧です。
オーガニックワインの別名と考える方も多いですが、それらは有機栽培で育てられたブドウを使って醸造されたワインであり、醸造過程においてはさまざまな人的介入が可能であるため、おそらく“超自然なワイン”と考えてワイン選びをする方にとっては拍子抜けな存在でしょう。
ナチュールワインを取り揃えましたという飲食店の話を見ていると、除草剤も化学薬品なども使用せず自然のままで栽培されたブドウを、亜硫酸無添加などで仕上げられたワインといったかたちで記載されていることが多いようです。
要するに、ブドウ栽培においては自然そのもの、醸造に関しては人的介入をできる限りなくした、といったところの解釈で良いかもしれません。
ナチュールワインは料理と合う?
ナチュールワインが人気の理由は、健康・おしゃれ・サステナブルな印象といったところでしょうか。
アルコールである時点で健康面ではアウトなので意味不明ですが、おしゃれ感やサステナブルといった意味では意味があるでしょう。
ただし、飲食店や有識者の中にはナチュールワインは料理との相性が良く、幅広いペアリングをこなすといった意味で揃えている場所もあります。
この理由はシンプルで、ナチュールワインの多くは香りや風味の要素が少なく、よく言えばピュア、少し厳しい言い方をすれば水っぽいといった印象です。
また、香りがあってもかなりファンキーであり単体では微妙ですが、調味料と考えるとエスニック料理や生魚を使った料理、独特な風味の郷土料理と合いやすい傾向でしょう。
ただし、水は全ての料理に合うというか邪魔をしないように、ナチュールワインもそれと同じと考えるとワインとのペアリングを本当に楽しめてるのかが疑問です。
香りや風味の要素が強く、その土地を反映したワインをどの料理に合わせるかがソムリエの力の見せ所ですが、なんでも比較的合うナチュールワインでは本当にペアリングが楽しめているのか、そこも疑問です。
ブームが去った後はどうなるか?
ナチュールワインブームが去った後、飲み手としてはそれらを懐かしめば良いだけです。
しかし、ナチュールワインをメインに取り揃えて飲食店をオープンさせた場合、後処理がかなり大変です。
今、ワインセラーも優れた品質になっているため長期間ワインを丁寧に保存できますが、ナチュールワインはそもそも熟成させるようなタイプが少ないワインであるケースがほとんどでしょう。
タンニンや酸味が少なく、ナチュラルであるが故に酒質が変化しやすく長期間の保存によって味わいが劣化する恐れは十分にあり得ます。
さらに、ナチュールワインブームが去った場合、その味わいがそもそも疑問であるとされたらお客様に提供するのも難しくなるでしょう。
一般的なワインと違い、振る舞う、売るといった行動も難しいかもしれません。ナチュールワインはあまりにも、“生物”であるため、そのブームと取り扱いのバランスは真剣に考えておきたいところです。