繊細・上品なワインとは?中には履き違えたワインもある!

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ワインを、繊細で上品と表現することがあります。

とくに日本ワインをはじめとしたワインに表現されることが多く、世界的にもヴァン・ナチュールなどを評価する際に利用されている用語です。

繊細で上品であるワインは質が高い証拠ですが、一方でネガティブな要素とも捉えられます。

近年、繊細さと上品さ、洗練さがワインのトレンドになりつつあるようですが、あらためてその魅力と懸念について考えていきましょう。

繊細で上品の本来の評価

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繊細で上品なワインを評価する際、多くの方はネガティブなイメージを抱くことはないと思います。

リッチでボリューミー、果実味たっぷりといったワインと比較すると、どこか洗練さを極めたワインといった印象です。

事実、世界的にも抽出をあまり強くしすぎない、樽使いも古樽やアンフォラなどを使用するなど、できるだけ“きれいな”ワインづくりがトレンドとなっています。

ワインに厚化粧をしたくはない、しかし平坦なワインはつくりたくない。

そんな想いから、一見特徴がないように感じるものの複雑かつ奥行きがある、じっくり飲んでその真価がわかるようなワインが繊細で上品と評価されているわけです。

料理にも合わせやすく、飲み手側が魅力をワインから探し出したくなるような面白いワインということで、ワイン愛好家やプロたちからも近年絶賛されている傾向といえるでしょう。

要素がないワインも繊細なのか?

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日本ワインは進化を続けていますが、その特徴はどんどん洗練さを極めている印象です。

世界的にもエレガントで繊細、華奢でありながら芯のある味わいと評価されており、それが日本らしさといった話もよく耳にします。

世界的に見てもその味わいは個性的であり、やはり全体的に繊細で上品、洗練されているといった評価です

。一方、意地悪な言い方をすれば、繊細で上品なワインとして複雑性は存在しているのか、そこがポイントになっていきます。

日本ワインのつくり手にはナチュラル系の生産者も多いほか、新規ワイナリー、都市型ワイナリーなども増えています。

それらワインの多くは繊細ですが、裏を返せば香りの要素が出せておらず風味も弱い、どこか水のような薄っぺらい印象と言わざるを得ないものもあるようです。

以前、とあるカリフォルニアのワイン醸造家がさまざまな日本ワインを飲み歩いた結果、なぜ日本人はワインづくりの途中で瓶詰めしてリリースするのか不思議がっていました。

要するに、まだワインとして完成していないものを繊細さと上品さの名のもとに売り出しており、それを日本らしさとして表現してしまっている危険性があるわけです。

ブドウ本来の味わいと繊細さの難しさ

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世界で繊細で上品なワインづくりを目指す生産者たちは、自分たちがワインづくりをしている土地の味を表現したいと考えています。

ブドウ本来の味わいをワインで表現するため、できる限りピュアな味わいに仕上げた結果、繊細で上品な仕上がりになると考えられるでしょう。

しかし、ワインメーカーの多くは酸味やフェノールの蓄積量が重要、熟成も重要と考えており、風味の良さと複雑性を兼ね備えてはじめて繊細で上品と表現できると語ります。

ブドウ本来の味わいを出すための繊細な醸造では、平坦で要素と個性がほぼないワインができる可能性があるでしょう。

結局、土地の差ではなく醸造技術やワインづくりにおける知識の違いによって繊細で上品なワインに仕上がるのか、要素のほぼない水っぽいワインができるかの違いかもしれません。

繊細で上品、この言葉に惑わされずに自分の基準でワインを冷静に評価してください。