ワインの世界地図が変わる?気候変動とワインはどう関係しているの?

昨今、ワインづくりの現場で話題になっているのが気候変動の影響によるニュースです。
日本でも気温変動の余波を受け、厳しいヴィンテージになっている産地があるようですが、とくに打撃を受けているのが世界的に銘醸地と呼ばれている産地でしょう。
気候変動による影響はワインファンにとっても無視できませんが、それに伴ってワインの捉え方にも大きく影響が及びそうです。
気候変動とワインについて考えましょう。
ワインがどうなってしまうの?
気候変動と聞いて、私たちが想像するのは異常気象かもしれません。
以前、お盆を過ぎればやや涼しくなり、10月頭にはすでに秋の気配を感じながら外出できるといったイメージでした。
しかし、夏がスタートしたと思ったら30度超えは10月下旬まで連発し、大暑どころの話ではない日々が続き、私たちの生活に大きな影響を及ぼしたことは記憶に新しいところです。そんな中、とくに影響を受けるのはワインでしょう。
ワインの原料はブドウであり、ワイン用ブドウはとくに理想的な環境下で栽培されることで優れたワインとなります。
しかし、気温上昇による影響が続いてしまうと、アルコールが高くなりすぎる、フェノール量と酸味のバランスが崩れるといった状況になってしまうのです。
干ばつ、大雨、台風などの影響からブドウ樹にダメージが与えられ、健全なブドウを収穫することすら困難になるでしょう。
つまり、“美味しいワインが生まれる産地”が、ブドウ栽培に適さない産地へと変貌していってしまっているのが、昨今の気候変動なのです。
新たな産地が出てくるものの?
気候変動による影響は、ボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュなどの銘醸地だけが影響を受けているわけではありません。
とくに問題が懸念されているのが高温かつ乾燥した産地であり、こういった産地は干ばつや日照量の増加、熱波の影響によりブドウ栽培が不可能になると示唆されているのです。
このままでは世界の9割のワイン産地に悪影響が及ぶとまで言われているなど、深刻な問題として取り扱われています。
一方、気候変動が起こることで今までワイン産地として適さないと言われていた産地が、新たな産地として君臨する可能性もあります。
北欧など、今までワインづくりと無縁だったような産地が今や注目されていますし、聞いたことのないような国のワインも売り出されるほどです。
気候変動により新たな産地が登場してくることは嬉しいですが、一方で特別感のないお酒になってきてしまっている、そんな印象もないでしょうか。
定説が通用しなくなるか
ワインというと、やはり飲み手側の知識量で競われる部分もあるでしょう。
ワイン関連の試験は世界的にも多く、日本においても枚挙にいとまがありません。
学べるお酒というところもワインの面白さですが、一方でボルドーだったらこれ、イタリアだったらこれ、ドイツだったらこれなど、気候変動による世界地図の変化により学びが意味のないものになる可能性があるのです。
とくにボルドーはカベルネ、メルロー、ソーヴィニヨン・ブランというイメージですし、ブルゴーニュは世界最高峰のピノ・ノワールとシャルドネの産地ですが、それ以外の品種でないと対応できなくなる未来は遠くありません。
そうなれば、もはや価値を見出すことができず、より優れた産地が台頭してきた際、過去の遺産となって語り継がれることになるのです。
気候変動は、ワインを学ぶ方にとっても驚異でしょう。
今後、どういった影響がワインづくりに起こっていくのか、見守り続ける必要がありそうです。