原産地呼称保護ワインはメリットだけ?生産者側のデメリットとは?

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ワインファンであれば、原産地呼称保護ワインを選ぶことが多いはずです。

もちろん、自宅で手軽に飲めるカジュアルな価格のワインであれば別ですが、それでも原産地呼称保護ワインではないものと、原産地呼称保護ワインが同じ価格であれば後者を購入することでしょう。

その一方、生産者にとって原産地呼称保護ワインは魅力的なのか否か、そのあたりは微妙とのことです。

原産地呼称保護ワインは、生産者にとって一長一短。

その理由を考えていきましょう。

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原産地呼称保護ワインをおさらい

原産地呼称保護ワインとは、その土地でつくられたワインであることを示した(保護した)制度を受けたワインのことです。

例えば、フランスのAというエリアで栽培されたブドウを使用し、Aで醸造されたワインだけが、「A」とワインラベルに記名できるといったような制度になります。

この保護がないと、アメリカで生産されたワインを、“シャンパーニュ”として売り出せてしまうため偽造ワインのオンパレードになってしまうでしょう。

また、消費者もどのワインを選ぶべきかわからない際、原産地呼称保護ワインであれば確実にその土地でつくられたワイン(規定が遵守された一定品質のワイン)であることがわかり、手に取りやすくなります。

原産地呼称保護ワインは生産者、消費者にとってもありがたい制度なのです。

原産地呼称保護ワイン3

生産者側のメリットはどこ?

原産地呼称保護ワインをつくることで、生産者側にも大きなメリットがあります。

上記でお伝えしたように、まず偽造ワインと区別することができるでしょう。

また、ワインは世界中で生産されているため差別化が難しいお酒ですが、産地名がブランドになるため、産地が有名であれば恩恵を受けることも可能です。

メドックAOCの冠がついていれば、全く新しい生産者が手掛けていてもブランド価値が高くなりセールスにつながります。

また、原産地呼称保護ワインを名乗るためにはただブドウをその土地で栽培、醸造をその土地で行うだけでは不可能です。

収量や醸造における規定、ブドウ品種の限定など、さまざまな法律をクリアしなければなりません。

また、官能検査も存在するため、それらをクリアした上ではじめて原産地呼称保護ワインを名乗れます。

裏を返せば、一定以上の品質が国が保護してくれているようなものであり、消費者に美味しいワインだと手に取ってもらえるわけです。

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デメリットはどこにある?

原産地呼称保護ワインにはメリットしか存在しない、そう考える方もいるでしょう。

GI山梨、GI長野、GI北海道なども原産地呼称保護ワインのひとつですが、一方でこれをきらう生産者も少なくありません。

とくに多いのがイタリアです。世界の原産地呼称保護ワインにはヒエラルキーが存在しており、トップカテゴリになればなるほど規定が厳しくなります。

それが強いブランド力を放つ一方で、生産者は自由が奪われるといったデメリットもあるわけです。

その土地らしい味わいを表現したいといった考え方がある一方で、自由なブドウ品種を使い、自由なブレンドを楽しみたいといった生産者も存在します。

原産地呼称保護ワインとして低いカテゴリーで出す生産者、またそもそも原産地呼称保護ワインを無視した生産者もいるのが実情です。

中でも日本はまだまだ法整備ができていない部分もあり、原産地呼称保護ワインについて消費者側も微妙は反応をしています。

むしろ、GI〇〇など誰もみずにナチュールだから、有名な人だからで売れているようです。

原産地呼称保護ワインは消費者にとっても嬉しいものですが、考え方次第ではワインの幅を狭めている、そんな存在でもあるようです。