高級ワインはなぜ美味しく感じる?高級ワインが私たちを幸せにする理由は?

ワインを選ぶ上で重要になってくるのが、価格です。
私たちは高いワイン=高品質ワインと考え、高ければ高いほどにありがたい代物として扱う傾向にあります。
ワインの価値は価格では決まりませんし、ワインを知る方であれば、“いたずらに高いワインは飲むに値しない”といった意見の方もいるでしょう。
高級ワインには高級ワインの良さが確かにあることは間違いありません。
なぜ、高級ワインが魅力的なのか、その理由を考えます。
単純に高揚感を与えるから
高級ワインが、なぜ人々を惹きつけるのか、その理由はさまざまです。
まず、単純明快なところで言えば、高級ワインは単純に高揚感を与える存在だからと言えるでしょう。
高級ワイン=お金持ちの証といったかたちでありがたがる層、投資目的といった方もいますが、それは世界でも数%の富裕層の考え方であり万人にはなかなかタッチできない領域です。
しかし、どんな人であっても高級ワインを手に取った時に感じるのは、“すごいワインを手に入れた”という高揚感ではないでしょうか。
頭では、“味と価格は直結しない”と認識しているものの、高級なものを手に取るとテンションが上がり、SNSでアピールしたり豪華なおつまみを購入したり、仲間を自宅に呼んでしまうのが人間心理です。
同じデザインのバッグでも1万円のものより、10万円のものを手に入れた際の気持ちの違い、それと似ているところが高級ワインにはあるのでしょう。
確実にストーリーがあると認識できる
高級ワインが私たちを興奮させる理由として、確実にストーリーがあると認識できるといった側面があります。
ワインを販売する上で重要と考えられているのが、ストーリー性です。ワインほど、生産者の努力や畑の場所、熟成させた年数や醸造工程、収穫年の気候条件が語られるお酒はありません。
人によっては、グラスにワインを注ぎ、それを口に入れた瞬間にブドウ畑が目の前に広がるといった方もいます。
素晴らしい想像力ですが、それだけワインをストーリーで飲んでいる方が多いということです。さて、高級ワインに私たちが心動かされる理由に、そのストーリー性があります。
安価なワインも魅力ですが、そこで語られるストーリーはどこか無理やり感を感じてしまうでしょう。売りたいのだな、といった思惑が透けて見えます。
しかし、高級ワインはストーリーが存在するからこそ、その価格帯であることから飲み手側から、“なぜ、この価格帯なのか?”とストーリーを探りに行くレベルの存在なのです。
分厚いストーリーが約束されているところも、高級ワインが私たちの心を揺さぶる理由と言えます。
脳がほぼ確実においしいと感じてしまう
冒頭、高級ワインだからといって美味しいとは限らないと伝えました。
そのワインが不味いといったケースは少ないでしょうが、要するに1000円のワインと比較して10万円のワインが100倍の美味しさということではありません。
しかし、私たちの脳は高級である=優れていると認識することから、価格を聞いてから飲むワインはそうでないワインの数倍美味しいと感じてしまうわけです。
事実、素晴らしい出来栄えのワインだからこその高級価格であるケースがほとんどですが、脳が、“とんでもない美味しさ!さすが高級ワインは違う”と瞬時に報告するため、とんでもない幸福感を感じてしまっているわけです。
この幸福感は依存性があり、“また、高級ワインであの幸福を味わいたい”と脳が記憶します。
結果、“また、ボーヌ・ロマネ村のグラン・クリュでワイン会したいよね”といったかたちでワイン仲間と、栄光の日について語り合ってしますのでしょう。
高級ワインは私たちを、そこにいるだけで幸福にしてくれる存在です。
天邪鬼な考え方はいくらでも可能ですが、高級ワインにシンプルに対峙してみる、そんな瞬間も悪くはないでしょう。